TOEIC900点
月13万円、手取りで10万円ちょい。彼女はパン屋で働く。
朝は早いが昼過ぎには仕事が終わり、自由な時間も多い。
夜に遊びに行くのは休みの日の前だけ、でもそんなに夜に遊びに行くことはない。
外国人の集まるカフェに行くと長方される。
つまり英語ペラペラだ。TOEIC900点。
まあそれなりに楽しいけど、今の仕事は辞めようかなあって思っている。
ある程度貯金ができたら辞める。
今度こそしっかりと勉強するためにお金を貯めている。
英語ができるだけでは田舎ではこうなるんだ、というリアルな話。
イギリス留学→就活
大学の時に2年間イギリスに留学していた。
「英語が喋れ流ようになったら」とただそれだけだった。
イギリスでは日本人に会うことを避けて、すごく英語を頑張った。
韓国人の彼もいて、英語でコミュニケーション。韓国語も少しは覚えた。
(まあその彼とは留学と一緒に終わったけど。)
そして帰国。そして日本の大学を卒業。
その前に就活だけど、地元に帰ろうと考えていた。
しかし、、、
地元の企業を受けたけれどどこもダメだった!
地元発の世界規模のメーカーも受けて、英語力をかわれていい感じだけど、転勤も多く、海外にも直ぐにいける。
いやいや地元に帰るんだよ。祖父母と父親がちょっと心配な長女なんだよ。
世界中飛び回るなら東京で就活してるよ!
というわけで地元のインフラ系は全然ダメ。
英語力もあまり必要ないのと、日本の卒業大学がCランクだからか!?
出身大学のデータ見たら、Sランクから悪くてBランクだ。
ダメだった。
例外すぎるか。
コネも無いし。
給料のいい地元で人気の企業はことごとくダメだった!
地元のホテル
そしてたどり着いたのは卒業してから1か月。5月から地元の全国チェーンホテルに就職した。
英語力と言えばホテル、という単純発想w
オフィス系狙ってたけど、商社系の小さい会社は先行きが不安で断った。
田舎の商社は小さい。吹けば飛びそうなほど。
そして家族経営が多い。(つまり何か嫌だったってわけ)
もう文句は言えない。
と、思っていたけど、翌3月に退職した。
休めない、ハード、そして汚い。
夜勤連続3日とかもう水商売かってくらいに夜型になるし、夜中フロント1人、仮眠中でも「氷ある?」とか、「近くのコンビニ」とか聞かれまくり。
「ググれよ」と思っても元気よく答えないといけないし。
もちろん部屋の掃除は掃除担当の人がいるから、掃除をする必要は無い。
汚いっていうのは明らかに親子でも無いおじさんと若い女の子が部屋に泊まるのを見る。
どういった関係かまで聞く必要ないから聞けないけど、人間の業を見るようでなんとも言えない。
都会ではスクープされるからと、そこそこ有名な芸能人もたまにやって来る、妻では無い人と。
または夫ではない人と。そんな彼彼女にも笑顔で接する自分が嫌だった(純真w)
そして英語教室
そして次が英語教室。
基本子どもたちを相手にする教室で、先生は皆外国人。
そんな彼彼女たちのマネージメントやその他雑用をするアシスタントの立場で雇われた。
17万円に通勤手当。
激安だけど、英語を生かせる仕事だから良いかなと、思っていた。
留学した時から知っているけれど、外国人は自由だ。
風邪を引いたら休む。(いや当たり前なのかもしれない。)
でも日本人の働き方からしたら休むのは、熱が出たり、ひどい咳が出てから、だろうと思うけれど、彼らは鼻水が少し顔を出したら、sickなのだ。
生徒の子どももいるし、感染させると良くないから良いのだが、一人休めば代わりの先生を探すのもこちらの仕事。
十分に先生がいるわけでもなく、休日の彼彼女らは何かと外出してenjoyしているから急な仕事を頼めることは少ない。
それでも何人かに電話をして、誰かに無理を言わないといけない。
経営者も外国人。
日本人妻を持つアメリカ人で、最悪は彼が先生をしてくれるけれど、誰も捕まらずに頼んだ時には文句が多い。
「僕は経営の側なんだ。現場に出ると仕事が倍になる」
社長がこれだからみんな動かないんだよ。
給与計算もしているからわかるけど、外国人の先生も月18万円。
日本ではそれなりにやっていけるくらいだけれど、決して多くはない。
社長は40万円。奥さんは10万円。
ちなみに奥さんは他で仕事をしている。普通のOLだそうだ。
ほとんど英語教室にはこない。
週末の生徒さん向けのパーティーには顔を出して、手伝いをしている。悪い人ではないことが救いだが、10万円分は働いていない。
家族経営なんてそんなもんか。
そして外国人の先生もどんどん減っていく。彼彼女はいい条件のところがあればどんどん変わる。
今ではオンラインの講師をしている方が気楽で稼ぎもいいらしい。
週6働いている年配のオーストラリアの男の先生は長い間、文句も言わずに仕事を続けてくれた。
誰かが急に休んでも、割と家で本を読んでいる彼は「OK」の一言で仕事に来てくれる。
その彼がオーストラリアに帰ることになり、英語教室は崩壊を始めた気がする。
大体1年で辞める職場で、10年以上も続けてくれた彼の給料もずっと18万円だった。
それからは私が騙し騙しに子どもたちに英語を教えたこともある。
外国人教師だけが売りなのに、詐欺に思えた。
「どこも人手不足で、、、」
そんな言葉を甘んじて受け入れてくれる生徒の保護者に支えられていた。
ほんとクレーマーがいなくて良かったと思う。
何人かの生徒はそのタイミングで辞めていったけれど、やっぱり疑問を持った人はいたのだろう。
私のように。
英語はツール
自分の英語力なんてどうでも良くなった。
英語を生かせる仕事なんて無い、田舎には。
自分が甘かった。
英語を喋れれば、なんとでもなると思っていた。
英語はツールだ。(ちなみに家系はルーツだ。)
上手くどう使うかのもので、母国語でない限り、あれば困るものなどでは無い。
「何をしたいか?」がまずは一番大切。
もちろん英語を使って通訳をしたいならば、英語は絶対必要だし、強い武器となる。英語をさらに研究する必要もある。
通訳をしたいとは考えたことがない。
じゃあ私は何がしたいの?それが無かった。
それからはなんとなくパン屋で働いた。
給料は安いけれど、パン作りには興味があった。
そしてもっと勉強したいと思った。
だからもっと勉強するために、また海外へ行きたいと思い、お金を貯め始めた。
日本でもいいけれど、せっかく自分が英語を話せることを生かしたい。
せっかくやりたいことが見つかったのだから。
日本という文化
これはとある女性の話。
英語を話せることは強みではあるけれど、苦労は絶えないようでしたよ。
それは日本という文化にも関係しているのかもしれませんね。(ただの田舎の問題かもしれないし)
大卒、高学歴、そして男性。
そんなものがまだまだ優遇される社会。そうではないと信じたいけれど。
でも英語力はあったらいいし、それに加えて、何かできることが見つかればそれでいい。
そして日本だけで働く必要もなくなればそれでいい。くだらない差別が露骨に残る国なんて魅力があるわけがない。
また日本語ができるからって日本でなんでも仕事ができるわけじゃない。
それに気づけば、語学力がすごい能力ということではないのだ。
社会は厳しいのだ。
でもやっぱり日本を出たいなら、英語は必須だけどね。
女性と英語と田舎の話でした。
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