「ハーフ」の人
この間、ファミレスでアメリカ人の父を持つ友人と会っていた。
彼は容姿端麗でめちゃくちゃモテる。
彼自身は学校の先生で英語を教えている。
モテるのに彼女がいないのは、服がダサいせいかもしれない。
日本かぶれで、和服が好きなんだが、和装というより暴れん坊将軍で、なんか肩幅がある着物を好んで着ている。
そう、いつも。
こんな正月に金持ちが着たり、成人式で少し個性を出そうとする若人が着る和装じゃなくて、
こんなやつ。(タトゥー(もんもん)はないけど。痛いからヤダって)
肩のところがツンと立っていて、肩で風を切って歩こうにも抵抗の方がうけやすそうなやつ。
前なんて、こんなんを着てきて、動きにくいと舌打ちしていた。
舌打ち生活
変な形で日本を好む彼はダサいのだ。
TPOを選ばないと、ただのコスプレのやばい奴になるのに、彼はまた頑固なんだ。
好きなものは好きでそれを身にまとうのは個性だ、という彼にはさすがアメリカ人の血が流れていると思う。
そんなこんなでやばい奴と思われている彼には女性は寄ってこない。
かなり男前なのに。
「ハーフのひと?」って隣から声が聞こえてきた。
女子大生グループだろうか。
ハーフの人
隣を見てみると、店員さんが声をかけていた。
「ハーフの人?」
黒くて長い髪をした、花柄のワンピースから肉付きのいい二の腕を挙げている女子大生の一人。
そういいながら周りの友人たちをキョロキョロ。
周りにいる何人かが、手を挙げていた。
「じゃあ普通の人は?」っていうとまた何人かが手を挙げている。
「それ以外の人は何にする?」と続けて、そう言っていた。
あー、ピザが何かをみんな揃って頼んでいて、ハーフサイズと普通サイズ。そしてピザ以外のものを頼んでいたんだ。
それ以外の人は。
普通の人
目の前にいる友人はハーフではない。
ハーフサイズではない。
普通の人だ。
普通サイズでもない。
それ以外の人でもない。
いや、それ以外の人かもしれない。
私は普通の人だ。
そして普通サイズの人間だ。
目の前にいる友人はハーフではない。
アメリカ人だ。
母親もアメリカ人。
そんな彼は、次にはこの髪型が気になっているという。
どおりで髪が肩よりも長くなっているわけだ。
「どこに言ったらこの髪にできるのか?」と聞いてくる。
目が輝いている。
「知らないよ」と僕は答える。
彼はアメリカから来た人。
ハーフでも普通でもない。
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