しょぼい動画
YouTuber。
すでに誰もが知る言葉だろう。
YouTubeのために撮影をして、動画を投稿し、広告収入なんかを得て、それを生業とするもの。
最近の子どもの将来なりたい仕事の上位ランキングに入るほどの人気だ。
今ではそのYouTubeから人気が出てテレビ出演をする人も増え、さらにその人気の勢いは増している。
それぞれのYouTuberが自分のチャンネルというものを持ち、それを視聴者が登録してくれて、視聴回数とチャンネル登録者が増えることで自分のYouTubeで稼ぐことができる。
なかなか収益化に至るには時間がかかるが、たったそれだけで稼げるとも考えられているものだ。
稼ぎが多いと、2019年ではアメリカのライアン・ケイジ君8歳という男の子がおよそ年収20億円以上にもなり、いっそう夢を与えている。(稼ぐということで)
子どものチャンネル
さて、そんなYouTubeのあるチャンネル。
子どもでもそんなチャンネルを持てるということで、いわゆるキッズチャンネルを覗いてみた。(というより、私の子どもがしょっちゅう見ているので一緒にみた)
そのチャンネルは登録者200万人で女の子の姉妹と時々家族が出てくるようだ。
何をしているのかというと、カメラの前で、ただ公園で遊んでいるだけ。
昔からあるような鬼ごっこを少し工夫した遊びをして、姉妹は激しく楽しんでいる。
そこに家族も加わり、激しく楽しんでる。
それを見ている我が子は、微かにほくそ笑んでいる。
やばい、この面白さについていけない、と思いながら、15分程度のその動画をしばらく見ていた。
無駄な15分に思えた。
人生が15分だったら無駄な一生だ。
ぶり大根でも作っていた方がよっぽどマシだ。
まあ、好き好みはもちろんある。
ただその動画は1000万回以上再生されているのだから、人気なわけだ。
私のようにつまらない、という人はマイノリティで弱い立場なのだ。(マイノリティが弱い立場であることを肯定しているわけではない。ただそういうものであることは否めない。)
心霊
視点を変えてみた。
YouTube以前のテレビ世代の私から言えば、つまらない映像の代名詞は心霊現象の映像だ。(映像と言ってしまうだけで世代を感じてしまう。以降は動画と言おう)
心霊動画はつまらない。
よくあるのが大学生くらいの男女がふざけて廃病院に行き、おふざけが過ぎて、後で動画を見るとヤバイの映っていた、というやつ。
学生の身内ネタほどつまらないものはない。
あと似てないモノマネと、身内ネタのモノマネと。(マネが細かすぎるとよくわからないけれど面白いこともあるが、ハイクオリティが求められる。)
心霊動画は割とそのレベルのつまらないのをして、動画自体につまらなさを積み重ねて、心霊現象に拍車をかけるのが心霊現象動画界隈のやり口だ。
言ってしまうと、子どもが遊んでいる動画など、その程度だ。
だから心霊が映っていると信じた。
この時初めて心霊現象を信じた。
「もう一回、この動画見せて」
私は子どもに言った。
「なんで?」
動画の途中にも次の動画を見始めるほどザッピングの早い子どもにとって同じ動画を続けてみることなどあり得ない。
「いや、どこに心霊が映ってたのかがわからなかった」
「は?」
信じられないという目でみる我が子。
幽霊やおばけを親の仇のように忌み嫌う我が子に(親の仇って私の仇か?)タブーのような言葉。
気付いた時には遅かった!言うんじゃなかったと言った後悔は先に立たず。
「そんなん映ってないよ」
あっさりとそう言って振り返り、次の動画を見始める。
そんなはずは、と思いながらも、そのチャンネルを持つYouTuberはすでに300本を超える動画を持ち、一様に再生回数を稼いでいる。(つまりマネーを稼いでいる$)
その全てに心霊現象なんて有り得ないか。と冷静になる。
子どもが好きなものを否定するつもりはない。
おもしろい、つまらない、はそれぞれだ。
奥の深いYouTubeの世界。
それは心霊現象をとっくに乗り越えた世界なのだ。
あっ!心霊現象を乗り越えてしまったら、あっち側にいってしまうじゃないか。
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