本物の北島三郎

イデアに出会う

 

テレビでモノマネの番組をしていた。

 

プロのモノマネをする人は本当におもしろい。

 

北島三郎とか美川憲一とか。

 

ほんとよく似ている。

 

よくもあそこまで、真似できるなあってくらい、まあよく似ている。

 

似ているというか、特徴をつかんでいるんだ。

 

なぜ物真似は面白いのだろう。

 

きっと人は、何かを「コピーする」ということに優越な感覚を元々持っているのかも知れない。

 

 

北島三郎、家に来る

 

そんな北島三郎のモノマネを見た翌日、北島三郎が私の家にやってきた。

 

短髪に、ちょっと上を向いた鼻、目が寄っていて、小柄。

 

もちろん、北島三郎の物真似は面白かったけれど、特に北島三郎のファンである訳ではない。

 

「与作」以外、彼のヒット曲など知りもしない程度の認知だ。

 

「えっ」

 

それでも流石に、昨日の今日。テレビで笑った翌日だからインパクトは大きかった。

 

テレビ番組の田舎に行こう!的な何か?って思って、ドキッとした。

 

テレビに映るのは困る。

 

悪いことをしたわけじゃないけど、テレビはに映るのは困る気がする。

 

サブちゃん(もう心の中ではサブちゃん呼ばわりだった。)を目の前に、絶対カメラがついて来ていると疑ってやまなかったのだ。

 

「えっと、、、」うまい言葉が見つかるわけがない。だってサブちゃんが目の前にいるんだ。「与作」しか知らないのに。「与作」の話ができる訳でもないし。

 

 

ドッキリか

「あっ、新聞取ってます?」と開口一番そう言ったサブちゃん。

 

テレビ番組で、田舎に行こう、かつ、素人向けのどっきりか?ブラウン管(古い)の向こうではこのやりとりで大笑いしようって懇談か!?

 

「いえ、新聞は読みませんが、、、」そんなことが頭に過りながら、うまい言葉を返すこともできない。視聴者向けには予定調和な間抜けな返事だったかも知れないが。

 

「今なら3ヶ月無料なんですよ」とサブちゃん。

 

「でも読まないんで、お得なのかもしれないですが」

 

「洗剤もつけるよ」とサブちゃん。

 

サブちゃんがアタックを持っているw

 

絶対に自分で洗濯なんかしないだろうサブちゃんが(偏見)、一般大衆の強い味方「アタック」を持っていることに少し滑稽ささえあった。

 

しかし私は冷静に「洗剤ねえ」とどのタイミングで、ドッキリのテッテレーが出てくるのかと待ちながら、もしかして一度引き下がるまでテッテレーが出ないやつかと思い、

「もうほんと新聞はいいです」と断る。結構しつこいんだなと内心おもい始めた。

 

「そう、またよろしくね」と意外にあっさり引き下がるサブちゃんスマイル。

 

お香のような品のいい匂いを残して去っていったサブちゃん。

 

ここからもう少し粘って、私が少し怒り始めたところで、テッテレーが出てくるんじゃないのか?と、素人さんを怒らせるしつこい新聞営業のサブちゃん、という笑いの構図だったのではないのか?と拍子抜けする。

 

私服なのかダボダボで、背中に可愛い犬マークの黒いジャージを着たサブちゃん。

 

それきり北島三郎はうちにこなかった。

 

ドッキリではない

それから近日中にテレビでしていた素人を相手にしたドッキリの番組にも北島三郎は出ていなかった。

 

本物よりも本物らしい人、彼はイデアなのかもしれない。

 

こないだ読んだプラトン「国家」に書いていた。

 

プラトンが言っていることは正しかった。

 

北島三郎よりも北島三郎に見える人。

 

テレビに出ている北島三郎よりも、北島三郎感がすごくて、本物よりも北島三郎だ!と思える人。

 

テレビに出ているのは北島三郎のイデアの影だ。

 

きっと悪魔がそうしているんだ。

誰かに出会ってそう思ったことありません?

 

私は本物の、イデアの北島三郎に出会いました。

 

今でも忘れられない思い出です。

Follow me!

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク