「上司が横を通るたびに、鼻で息をするのをやめる」
「仲のいい同僚、冬はなんともないんだけど、夏になると強烈なにおいが」
「コミュニケーションが大事、ってよく話しかけてくるあの人、あの口臭さえなければもっと話せるんだけど」
そんなお悩みありませんか?それスメハラ。においで人を不快にさせるスメルハラスメント(smell harassment)は社会問題の一つです。スメルハラスメントとは英語のsmell=におうとharassmentを合わせた和製英語で、においを原因として周囲に不快な思いをさせる、という意味です。
さて、においと言っても、体臭や口臭などの体から自然に発するものだけではなく、昨今は柔軟剤や香水などの人工のにおいもあり、香害(こうがい)と呼ばれるものもあります。においの原因は以下に記した7つのタイプに分けられます。
目次
においの原因の7タイプ
- 体臭・・・腋臭症(ワキガ)、加齢臭、ミドル脂臭、汗、足のにおいなど、不潔または病気によるもの
- 口臭・・・口の渇き(ドライマウス)、歯を磨いていない、口腔ケアをしていない等による不潔、または便秘により便が溜まるとそのにおいが口から発せられることも。他には内臓の疾患により起こるにおいもある(口臭についてはこちらの記事がすごく詳しいです「口臭の原因が分かる!臭いの一覧表」)
- ペットの糞尿・・・室内で飼うペットの糞尿が衣類に付いてにおう、
または室外で飼っているものでも過度にペットとたわむれたときに衣類ににおい が付いていることも - タバコ、アルコール・・・喫煙による口臭、多量に飲んだアルコールが体内に残り、
口臭や体臭としてにおう - 香水・・・過度な香水の使用
- 洗剤、柔軟剤、芳香剤・・・過度な洗剤、柔軟剤の使用、車に置かれた芳香剤が衣類に付着してにおう
- 衣類のにおい・・・洗濯した衣類が生乾きである場合など
このようなにおい、誰でもいずれかには当てはまるもので、なかなか自分では気づきにくいです。
①体臭や②口臭は誰にでもあります。朝起きた時、ご飯を食べた後、汗をかいた後、いろいろな場面で人はにおいます。しかしそれは、どこまで気にして、どんな対策をしているか、それだけで大きく違います。
③ペットの糞尿はペットを飼っている人には気づきにくいにおいです。においは鼻が慣れてしまうものです。割とにおいがきついペットの糞尿でも毎日それがある環境で生活していると慣れてしまい、においに気付きにくくなります。
④タバコ、アルコールは言うまでもないですね。
⑤香水や⑥洗剤、柔軟剤、芳香剤についてはにおいの意識がある人がそれを過剰に使用すると周りに迷惑をかけるというものです。洗剤なんかは、当人は意識していない場合もあり、家庭で使用している洗剤の問題となることもあります。これに関連して、⑦衣類のにおいは主に梅雨時の洗濯物が乾きにくい時、乾ききっていない衣類を身につけて、強烈なにおいを撒き散らしている場合があります。これは本人も気づきやすいタイプですが、気づいたところで着替えなんか持っていない、と困りものです。
スメハラ加害者の4つのタイプ
タイプ | こんな人 | |
A | 体から発するにおいに自分で気づいていないタイプ | 体臭、口臭に加えて、タバコやアルコールによる体臭や口臭、ペットの糞尿の臭いが衣類に染み付いている場合周りの人には強烈なにおいになっていることがあります。 |
B | 体から発するにおいに自分で気づいているタイプ | 家族や身近な人に指摘されたことがあるけれど、体臭や口臭なんかどうしようもない、人間なんだから仕方がない、ちょっとにおうのなんか我慢しろ、と考えて何もしない人。 |
C | 人工的なにおいを多量に付けてそれが良いにおいだと思っているタイプ | 流行りの柔軟剤やハイセンスな香水を自分の好きないいにおいだからと多量に付けて、それは周りの人にとっても良い匂いだと思っているタイプ |
D | 自分がクサイと思って、過剰に気にして人工的なにおいを多量に付けているタイプ | 自己臭恐怖症(周りからクサイと思われていると思い込む神経症の一種)であることがある。におわないのに過剰に自分がクサイと思い込んで、香水やデオドラントでにおいを誤魔化そうとして、反対にそれが周りに不快な思いをさせていることも。本人は気にしすぎてうつ病にかかっている場合も。 |
各においへの対策
- 体臭・・・「朝、運動してきた?」「昨日、風呂入らなかったの?」(いきなり言うのが良い。遠回しに、汗をかいたから仕方がないね、とか、お風呂は入らなかったらにおうよね、ということを伝えます。)
- 口臭・・・「昨日、おいしいもの食べた?」「歯みがきって一日何回する?」(これもいきなり言う。おいしいにおいという皮肉を込めて言う。また歯磨きできてますか?ということを遠回しに伝えます。)
- ペットの糞尿・・・「ペット、部屋で飼ってる?」「部屋でペット飼ったら、におわない?」(ペットを飼っていることを知らない相手にしか使えないが、ペットのにおいがしますよ、というのを伝えます。)
- タバコ、アルコール・・・「1時間で1箱ペースのヘビースモーカー?」「もしかして朝から飲んでないよね?笑」(タバコ、アルコールは直接言っても構わないかもしれませんが、少しユーモアを加えてみました。)
- 香水・・・「香水こぼした?笑」「現代の楊貴妃?笑(ようきひ・・・世界三大美女と言われた一人。体から香水のようなにおいを発したと言われたが、それは科学的にはワキガらしい)(もう冗談でしか言いようがありません。良いにおいの香水を常識の範囲で使用していたら、どこの香水か聞きたくなるけれど、度を越した香水の使用にはこれしかありません。)
- 柔軟剤・・・「柔軟剤、外国製?やっぱり外国製違うね」「柔軟剤、ボトル1本いれた?笑」(これも冗談で気づかせるしかありません。)
- 洗剤・・・「洗剤、外国製?変わったにおいだね」「洗剤、1箱全部入れた?笑」(これも)
- 衣類のにおい・・・「朝、急いでた?最近、洗濯物の渇き悪いよね」「家に乾燥機無いの?うちにも無いけど。笑」(これも、これも)
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というわけで、人を変えるのは難しい、人間関係なんてそんなものです。三つ子の魂百まで。人を変えるのではなく、自分が変わることがどんな場面でも大事です。攻撃は最大の防御!ではなく、やんわりと防御しましょう!やんわりと。
各においへの自己防御
鼻栓(ノーズマスク)・・・鼻栓というと鼻を洗濯バサミでつまむイメージですが、そんなこと日常にできません。今では花粉症や鼻炎のために、鼻水が垂れてくるのを抑えられるように、鼻の穴の中にそっと入れておける鼻栓(ノーズマスク)という優れものがあります。これをしておけばにおいません。しかし、口で息をしないといけなくなるところがデメリット。
マスク・・・風邪の予防から、公害対策まで、年中していてもあまり違和感を持たれなくなったマスク。使い捨てタイプは安価。昨今では、マスク依存症と言われる、マスクをしないと落ち着かない人たちもいるのはにおいのせいもあるかもしれません。
扇風機・・・夏限定。においは空気を伝達して伝わってくるものだから、においを運ぶ空気をかき混ぜるための扇風機。今では携帯扇風機もあって、自分の周りの空気をこれで散らしていたら、においもやってきません。
タイガーバーム・・・シンガポール発祥の虎の絵の描かれたアジア土産の定番。外用消炎鎮痛剤の軟膏ですが、マッサージや虫さされにも効く優れもの。これを鼻の下にちょっと塗るとミントの香りで鼻づまりにも効きます。これを応用して鼻の下に塗っておけば、常にミントの香りで嫌なにおいとも、そして眠気ともおさらばできます。これ意外とおすすめです。
においの自己チェック機器
さて、人のにおいは気になるけれど、自分のにおいは大丈夫ですか?そんなあなたのために、自分のにおいを確認、数値化して知らせてくれるガジェットがあります。昨今のスメハラ対策で今後もどんどん増えそうですね
・kunkunbody(KONICA-MIMOLTA)
これまで測ることのできなかった「汗臭」「ミドル脂臭」「加齢臭」の測定ができます。電池式の機器は手のひらに収まるほどで、アプリと連動してスマホで数値確認。数値は100段階で測定してくれます。「あたま」「耳のうしろ」「わき」「あし」のにおいの測定ができ、出かける前や汗をかいた後など、気になる時にそっと測定して、スマホで確認出来ます。
・においチェッカー ES-100(TANITA)
体の各部分のにおい測定用。手のひら大の電池、センサーカートリッジ式のコンパクトなもので、耳の後ろ、脇、頭など体の各所に近づけてにおいを11段階で数値化してくれます。毎日、出かける前の確認や汗をかいた後の確認に。センサーカートリッジ部分は1年間または2000回使用で、交換が必要です。またセンサーカートリッジは交換式なので、機器を1つ買えば、センサーカートリッジを交換して、複数人での使用もできます。
・アルコールチェッカー EA-100(TANITA)
アルコール測定用。これも手のひら大の電池式のコンパクトなもので、アルコールを0.00~0.50㎎/L (0.05㎎/L単位)の範囲で測定してくれます。飲酒の翌日、車に乗る前に測定して、飲酒運転の防止に使えます。自分ではもう大丈夫だと思っていてもアルコールが出てしまうと飲酒運転です!またアルコールが検出されるということは、においもしています。飲酒の翌日の大事な打ち合わせ前に口臭確認ができます。センサー部分は1年間または1000回使用可(交換不可)。
・ブレスチェッカー EB-100(TANITA)
口臭用。これも手のひら大の電池式のコンパクトなもので、口臭を6段階で数値化してくれます。食後や大事な打ち合わせ前にそっと口臭確認ができます。センサー部分は1年間または1000回使用可(交換不可)。
においに関するおまけ情報
航空会社では体がにおう人は搭乗拒否されても仕方がないことがあります。各航空会社には運送約款というものがあり、そこににおいに関することを書かれていることが多いです。
アメリカン航空・・・「搭乗者の責任 航空会社の安全規則の遵守・・・周りに不快となる匂いを発しないよう気を付ける(障がいまたは病気に起因する場合を除く。)」
FINNAIR・・・「旅客および手荷物に関する一般運送約款 第7条ー運送の拒否および制限 7.1.2お客様またはお客様の手荷物の運送が他の旅客や乗務員の安全や健康を脅かし、快適性に著しく影響を与える可能性がある場合。」
ANA、JAL・・・「国内旅客運送約款 第16条 運送の拒否および制限 1(3)(二)他の旅客に不快感を与え、又は迷惑を及ぼすおそれのある場合」
一部の航空会社の運送約款を参考にしましたが、ほとんどの航空会社ではにおいに関する規程を設けています。本当ににおいがひどい場合は搭乗拒否、時には緊急着陸も起こるようです。空という危険な場所の密室の問題なので、過度に気をつけているのでしょう。でもあなたも、においに気をつけないと、搭乗拒否になるかもしれませんよ。
・においの自己チェックを・・・においの問題は深刻です。においは人を傷つけ、それを指摘されるとその人も傷つく、非常にセンシティブな問題です。そんな問題も現在では数値化されるようになり、においは好みもあると言われますが、どのにおいが臭くて、どのにおいが臭くないのか、そんな分類がされるようになってきました。スメハラ被害者だと思っている人もいつか加害者に変わっているかもしれません。その前に、においの自己チェックを一度してみましょう。