おすすめTEDのご紹介です。
アシュトン・アップルホワイト:エイジズム(高齢者差別)に終止符を!
誰にも待ち受けている「老い」
私たちの誰にも待ち受けていることは歳をとる、つまり老いるということ。まだまだ若い人にはそうでもないけれど、若さを超えると年々感じてくるものです。そしてそれはあまり良いものとは考えられていない。
老いるとどうなるのか?
どこかの施設で暮らしているのか?しかし老人ホームで暮らしているのはアメリカでも老齢人口の4%。
認知症になってしまうのか?しかし認知症になる率も減っている。蔓延しているのは物忘れ(認知症)の不安症ではないか。
老いるともうすぐ死んでしまうということから、老人は鬱々としているものかと思われるが、
「幸せのUカーブ」という世界中で行われている研究で、生まれた時と死ぬ時が一番幸せになることが裏付けられています。
エイジズムという差別
このような研究もあり、老いることはそれほど暗いものでもなさそうです。しかし、世間一般にそう考えられているのはなぜか?
「エイジズム」。年齢による差別とその固定観念化が原因のようです。
「〜イズム」つまり差別主義は社会的に構築された概念です。
人種差別、性差別、同性愛差別。
そうした概念は作り上げられ、時代とともに変化しています。人種や性別で差別をするのは悪いことだと考えられています。
「他者化」で起こる差別だが
それでは若者とお年寄りを差別するのは問題ないのでしょうか?
差別は特定のグループの人を自分たちとは違うと見なす、つまり「他者化」によって起こります。
しかしよく考えてみると、誰もが老いて、年寄りになります。
「エイジズムは未来の自分への差別」となります。それは自分たちも歳をとることへの現実拒否です。
若作りやアンチエイジング、体の衰えを感じる時、それらも現実を否定です。
そこには歳を重ねることへの恥じらいがあります。老いを拒絶する固定観念があるのです。
年齢差別は作られる
- パーティーの場で同年代の人々を探す。
- ミレニアル世代が我が物顔だと苦言を言う。
- 年齢に見合わないという理由で髪型、交際、外出を断念する。
上記の3つは年齢差別です。この年齢差別は生まれながらにあるものではありません。それは幼少期に始まり、否定的なメッセージがメディアやポップカルチャーから絶え間なく降り注ぐためです。
- シワは醜い
- 老人は惨め
- 歳をとるのは悲しいこと
このような考え方(メッセージ)が社会に蔓延しています。
ハリウッドやシリコンバレーの現状
ハリウッドでも最近のアカデミー賞候補で、60歳以上でセリフや名前のある登場人物は12%。そしてその多くは障害を持つ姿で描かれている。
高齢者こそが一番の年齢差別主義者になるのは、一生をかけてこのハリウッドのようなメッセージを内面化し、疑ってこなかったからなのです。
シリコンバレーのエンジニア達。そんな能力のある人たちでさえボトックス注射や植毛をして大事な面接に臨む。
専門的な能力のある30代の白人男性でもこのようなアンチエイジングを行っているのだ。
差別を生み出す市場
女性器を持つことが女性の生を辛くさせるのではなく性差別が悪いのであり、男性が男性を愛するからゲイの男性の人生が辛いのではなく同性愛差別が悪いのである。
そして同じように老いることが辛いのではなく、年齢差別(エイジズム)が悪い。
それは満ち足りた気持ちからは搾取できないが、恥や恐れという感情から生まれている市場が原因なのです。資本主義は常に新しい市場を探しています。
シワが醜いというのは、何十億ドルのスキンケア業界で、閉経や男性ホルモンの低下、軽度の認知機能の低下を医学的な症状だと煽るのは1兆ドル規模の製薬業界なのです。
老いは正すべき問題でも、治療の必要な病でもなく、自然な生涯のプロセスです。
高齢者にまつわる研究
研究の数々でわかってきたことは、お年寄りに大きな声で話しかけたり、「おばあちゃん」や「お嬢さん」と言う幼児言葉で呼びかけたりするとき、途端に老け込んで歩き方や話し方に影響を与えているそうです。
老いについて前向きな感覚の人は、速く歩き、記憶力テストの成績も良く、怪我や病気の治療も早く、長生きをする傾向にあります。
そして目的意識を持つこと。これがあると歳をとっても頭がしっかりしていられる傾向にあります。
エイジ・プライド
老いることは男性の価値を高め、女性の価値を下げるー女性は競って若さを保とうとする、そしてこの年齢差別と性差別のダブルスタンダードを増長させています。
2050年までに5人に1人が60歳以上になり高齢者人口はこれまでにない広大な市場になります。
しかしそれは年齢差別がある現状では世界規模の人権問題にもなりつつあります。
あらゆる国籍、性別のすべての人が歳をとります。エイジズムを止めないと、自分たち自身を抑圧し続けてしまいます。そしてもっと長生きをするであろう子どもたちにまで遺すべきものではありません。
エイジ・プライドー長生きは当然のこと、権利擁護が必要な差別は他にも無数にあるのにもう1つ加える必要はありません。アンチエイジングや老いることが悪いと思う自分自身の考え方から見直していかなければなりません。
まとめ
年齢差別、それはもうすでに蔓延してしまっていて、ほとんどの人が内包してしまっているものです。
それはお年寄りにおいてさえ。
今では「老害」という言葉も時々聞きますが、これも年齢差別の一つだと考えられます。
今は若いからーそう思っていてもあっという間に歳をとり、差別の対象が他者から自分に変わっていることも気づかない。そうはなりたくないですよね。
それなら今から年齢差別を止めないといけません。差別の対象が自分になるのは明日かもしれません。
それだけではなく、お年寄りを一つの個性と考えて共に不自由なく暮らしていける社会が必要とされています。
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