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トム・グリフィス:コンピュータのように考えることで良い決断をする3つの方法
目次
37%
家を買ったり、借りたりするときに、色々と探してみてどのタイミングで契約をすれば良いのか?
最高のものを見付けられる可能性を最大化したければ出ている物件の37%を見て、
次に出会うこれまでで一番良いものに決めればいいのです。
もし1ヶ月で探すなら37%の時間の11日間で基準を決め、行動に移る準備をします。
なぜそうなるのかというと、家を探すというのは「最適停止問題」というものの一例で、
このような問題は数学者や コンピューター科学者によく研究されているものです。
日常行動のPC的考え方
計算認知科学者であるトムは、人生で出会った日常で現れる問題の、
計算論的な構造を考え、理想的解決法と人が実際にする行動とを比較し、
そこにコンピューター科学を少しばかり適用することで、
人間の意思決定は楽にできることに気づきました。
どのレストランに行くかという簡単な問題から、
人生のパートナーを決めるという重大な問題まで、
人生は計算論的な問題に満ちており、ただ根性で解決するには難しすぎることもあります。
そんなときはコンピューター科学者に意見を聞くのがよく、
ステレオタイプに考えるとそれは正確で徹底的で緻密で、楽しそうでありません。
しかし人間の意思決定をコンピューター科学で考えるとその逆であることがあり、
人間の生活に現れるような難しい問題に適用するとき、
コンピューターは人間の行動と本当に似た方法で問題を解きます。
どのレストランに行くか決めるとき「探索と活用のトレードオフ」
今晩、どのレストランに行くか?
そこでは 「探索と活用のトレードオフ」が生じます。
それは何か新しいものを試し、将来使える情報を集めるために「探索」をする、
もしくは既に分かっているところに行き、これまでに集めた情報を「活用」するか。
つまり「探索と活用のトレードオフ」は新しいものに挑戦するか、
もしくは良いことがすでに分かっているもので手を打つかを選ぶ時に生じるもので、
音楽の選別や、誰といるか決めるときに役立つものです。
企業がウェブサイトに広告を出す時に、
新しい広告を出すか、それとも多くの人がクリックすることを分かっている広告を出すべきか、
という問題に直面した時にも活用されるものです。
「探索と活用のトレードオフ」の活用
これまでの60年でコンピューター科学者は「探索と活用のトレードオフ」の驚くような洞察が得られています。
例えば、どのレストランに行くか決めるとき、最初に問うべきことは、
その辺にあとどれくらいいるのかということです。
短期間なら活用、新しい情報を集めても仕方が無い。
長期間なら探索、新しく得られた情報で将来の選択につながります。
その情報を使う機会が多ければ多いほど情報の価値は大きくなります。
人の一生における「探索と活用のトレードオフ」
赤ちゃんはいつも新しいことを試み、何でも口に入れる。
そこにはおいしいものもあれば、おいしくないものもある。
それは「探索」の時期で、人生の探索期であるということです。
代わって高齢者。
同じレストランで、いつも同じメニューを頼む人がいる。
これはただ退屈なわけではなく、これまでの経験からの「活用」であり、
最適化されているわけです。
探索と活用のトレードオフを理解していると何かの決断において、
自分に寛容になれ、気が楽になれるものです。
慣れたところで毎晩最高のレストランにいく必要は無く、
思い切って新しい探索をすると何かを学べるかもしれません。
そこで得られた情報は、また価値のあるものになります。
衣類整理の「最長未使用原則」
衣類整理において米国で有名な実業家でライフスタイルなどの提案をするマーサ・スチュワートは、
次の4つの原則を提示しました。
- どれほど長く持っているか?
- まだ使えるか?
- 持っているものと同じようなものでないか?
- それを最後に使ったのはいつか?
コンピューターの記憶システムの専門家は最後の「それを最後に使ったのはいつか?」が重要だとします。
それは「最長未使用原則」に当てはまるからです。
多くのコンピューターは、メモリーチップのような高価で容量が限られている高速な記憶システムと、
大容量で低速な2種類の記憶システムを持っています。
効率的に作動させるため、アクセスのたびにデータを高速な記憶システムに取り込みますが、
容量が限られているので、代わりにどのデータを取り除くかを決めなければなりません。
そこで一番効果的なのは最も長く使われていないものを選ぶという方法。
それはそのデータを最後の使用から長時間が過ぎているのなら、
また必要になるまでの時間も長いだろうと考えられるからです。
衣類の整理も同じようなもので、タンスの容量が限られていて、
素早く取り出せるように一番必要なものをそこに入れておくという「最長未使用原則」を適用すると良いでしょう。
書類整理にも適用可能
同じように「最長未使用原則」は職場の書類整理にも適用できます。
これは日本人の経済学者野口悠紀雄氏が考案したものです。
それは、まず段ボール箱へ書類を左端から入れます。
さらに書類を追加するときには、元にあるものを右にずらして左端へ。
そこから書類を取り出して、元に戻すときにも同じく左端へ入れる。
すると書類は左から右に最新に使われた順で並ぶことになります。
この方法は書類の山にも適用できます。
乱雑に見える書類の山も、上から下へ最近使われた順に並んでいることと思います。
上の方から見ていけば、探している書類を速やかに 見付けられるでしょう。
最善のプロセスを使うこと
最高のアルゴリズムは最も意味のあることを、最小限の時間で行うものです。
コンピューターは困難な問題に直面したとき、ランダム性を取り入れたり、
制約を取り除いたり、近似値で済ましたりと、問題を簡便化することで対処します。
簡便化した問題は困難な問題に対するヒントを与えてくれ、それ自体で結構良い解決法になっていることさえあります。
これを知っていると決断の際に気が楽になります。
先ほどの「最適停止問題」の37%の法則、
最適な戦略を使っても、最高の結果が得られるわけではありません。
最高の結果に出会える確立は37%なのです。
コンピューター科学は自分の限界に寛容になれるように助けてくれるもので、
結果ではなく、プロセスを制御してくれます。
最高のプロセスを使うことが、最善を尽くしたと言えることなのです。
そしてこれこそが合理的であるということなのです。
まとめ
コンピューターのように考えること、それは形式ばった考え方をするようですが、
それは最高の合理化をもたらすこと。
確かにPCは人が作ったもので、合理化の賜物だと考えられます。
そこには人の生活に当てはまる多くの合理的考え方が詰まっており、専門家でもないとその全ては分からないことばかりです。
ここであげられたものはその一部だと思いますが、どれも生活の、あるいは人生の選択に使えそうなものです。
コンピューターが教えてくれるライフハック。
学ぶことはまだまだありそうです。
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