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ジャドソン・ブルワー: 悪い習慣を断ち切るシンプルな方法
目次
注意を保つ難しさ
精神科医ジャドソン・ブルワーは瞑想を習い始めたとき、こんな指示を受けました。
「ただ呼吸を意識してください。雑念が浮かんだら、また呼吸に意識を戻してください」
すごく簡単に思えるこの行為が、実はとても難しいのです。
瞑想だけではなく、普段人の話を聞いたり、仕事をしていたりして、何かに集中しようとすると他に意識が飛び、メールを見たり、ツイッターをしたりしたくなります。
なぜでしょうか?
文脈依存記憶
そこには最も原始的なプロセスが神経に刻み込まれているからなのです。
以下のような例のプロセスです。
おいしそうな食べ物をみつけると「食べ物だ!生き残るために食べろ!」
↓
口に入れ、食べて、満足
↓
特に砂糖なんかが入っていると、体から脳に、
「今食べたものとどこで食べたのかを記憶せよ!」という信号が送られる。
これを「文脈依存記憶」と呼び、人はこのプロセスを繰り返します。
きっかけ
↓
行動
↓
報酬
これは「正の強化」「負の強化」とも呼ばれる学習プロセスです。
悪いきっかけ
そしてこのプロセスの「きっかけ」のところに、脳はこう言ったことをささやきます。
「今度、落ち込んだときに食べ物を食べると気分が良くなるんじゃない?」
そして「きっかけ」のところで、落ち込んだときやストレスを感じたときに、甘いものを食べると気が紛れる。
「きっかけ」のところに「空腹」シグナルが「感情」シグナルにとって代わり、繰り返してしまうのです。
酒やタバコもこのプロセスの繰り返しなのです。
「きっかけ」のところに強いストレスなどが来ると、酒やタバコに手が伸びるというプロセスを行うのです。
禁煙に応用する
これを先ほどの意識の問題に応用して、無理に他の何かに意識を向けようとする代わりにこの「報酬に基づく学習プロセス」を活用してみましょう。
そのコツは、呼吸においては、呼吸する間自分の体が経験する一瞬一瞬に注意を向けることです。
そしてジャドソンの研究室で、このマインドフルネス・トレーニングが禁煙に有効かどうかを研究しました。
無理やり呼吸に意識を向けたように、無理やり喫煙の習慣を断つ、というやり方もありました。
平均6回失敗しましたが、変わることができた人もいます。
マインドフルネス思考をする
このトレーニングでは参加者に何かを強制するのではなく、その行為自体に好奇心を持つように促しました。
実際、喫煙を勧めさえして、「どうぞ吸ってください、そのときどんな気分になるか好奇心をもってみてください」と。
ある女性参加者のコメント「マインドフルネス喫煙は臭いチーズのようなニオイで、化学薬品臭い味だ!オエッ!」
もともとは喫煙がいけないと思って参加したプログラムで、喫煙するときの感覚に興味を持地、タバコがまずいことに気づいたのです。
知識が知恵になったのでした。
喫煙は良くない
↓
まずいタバコを吸っている
↓
自分の行為に幻滅する
ということが起こったのです。
悪いことをしないようにするときに脳で起こる作用
脳の前頭前野と呼ばれるところでは、人が行動を変えられるように一生懸命喫煙をやめようとしたり、
さらなるクッキーには手を出さないように助けようとしたりと、制御します。
「認知制御」と呼ばれるものです。
人間は行動の制御に認知を使うのですが、この前頭前野、強いストレスを受けると働かなくなり、役に立たなくなります。
疲れたり、ストレスを抱えたりすると家族に意味も無く怒ってしまうことが正にそれです。
マインドフルネスの重要性
このように脳の前頭前野が働かなくなると、習慣に逆戻りしてしまいます。
なので自分自身の行為自体への幻滅が重要な理由がここにあるのです。
習慣に伴う結果を見つめることで、骨身に染みるほどに悪習の実態を自覚できます。
こうすると行為自体への興味が薄まるので、行動を無理に抑えたり、我慢したりすることがなくなるのです。
これは一瞬にしてできるわけではないですが、時間をかけて少しずつ、自分の行為の結果への自覚が深まるにつれ、自然に古い習慣から離れ、新しい習慣が形成されます。
マインドフルネスの矛盾
しかしこのマインドフルネスには矛盾があります。
マインドフルネスで大事なのは関心を向けること、つまり一瞬一瞬の中で心と体に起こるすべてを敏感に感じ取ろうとする欲求です。
よからぬ欲望を遠ざけようとあせるのではなく、自分自身に欲求を向ける。
欲望から逃れるために欲求をもつという矛盾です。
そしてこの欲求の土台となる好奇心には満足感をもたらす性質があります。
欲求の正体
この欲求とは何なのか?
それは欲求とは緊張や不安感、そわそわするなどの身体感覚に過ぎないものです。
この身体感覚は現れたり消えたりするものです。
その欲求に興味を持つことで身についてしまった不安による反射的な習慣行動から抜け出し、素のままの自分を認められるようになるのです。
瞑想の上級者の脳を調べると、神経網の一部の自己参照処理機能である-デフォルトモードネットワーク(DMN)が活性化していました。
仮説ではこのDMNの一部の領域である後帯状皮質と呼ばれる部分は、ただ人が強い欲求を持ったときだけではなく、欲求に囚われているときに活性化するそうです。
人々はこれにだまされるということなのです。
反対に、距離を置いて、自分に起こっている変化をただ注意深く観察することでそのプロセスから抜け出せれば、後帯状皮質の興奮は収まるのです。
喫煙する人だけでなく
喫煙の場合だけでなく、ヤケ食いをしてしまう人や、暇つぶしにメールをチェックをしたり、
仕事中に他事を始めたくなったり、運転中にメールの返事をしたい衝動に駆られたりしたら、
上記の脳の本来の性質をうまく利用できるか試してみてください。
ただその欲求に興味を持ち、その瞬間、心と体に起こっていることを観察してみてください。
悪循環に一生付き合うか、それとも断ち切るか、今がそのチャンスのときです。
まとめ
気づけば片手にスマホを持って、メールが来ていないか、ツイッターに連絡が無いかと調べてしまいます。
もう習慣ですね。
連絡待ちでもないときに無意識にそれをしています。
飲酒や喫煙のように体に害はないけれど、この癖はどこかいやだなあと思っています。
次、手が伸びる前にその自分の行動を意識してみましょう。
なぜスマホを持つ?今見なければいけない?などなどそれぞれに行動に問いかけて、その無意味さを問うてみる。
考えてみると難しそうですが、それで止められるならやるべきことですね。
他の悪い習慣にもすべて意識をすることで、より良い生活を送り、違った考え方を持てそうです。
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