【「育てにくい子」と感じたときに読む本】「子育てに疲れた・・・」と一瞬でも思ったときに読んでもらいたい本

子育て、大変ですか?子ども、嫌いですか?

「子どもってかわいいですよね?」

「いや、そんなこと無い」

「子どもは厄介だ」

「でも自分の子どもはかわいいですよ」

「うん、確かにかわいい、そして他の子どもも」

子どもに対していろいろ意見はあると思います。

「産めよ増やせよ」、なんて言葉はもう差別用語で、子どもを産む自由は声高になっています。

それでも子どもは生まれてくるし、誰もが子どもであったわけで。

子どもって大人の前の姿のようであり、大人だと思っている自分自身にも子どもだと感じるものであったり、

なんとも純粋で可愛いと思えたり、はたまた不合理でとりとめの無いことばかりしたりで、

 

子どもを育てること、子どもと付き合うことに疲れることもあるかもしれません。

 

そんな子どもに関する本のご紹介です。

佐々木正美『「育てにくい子」と感じた時に読む本』(主婦の友社、平成20年7月31日)

(以下、引用は全てこの本からになります。)

しかしこれ、子どもを育てている人にはもちろん、育てていない人も子どもが好きな人も嫌いな人も読んでもらいたいです。

子育ての実に生々しい悩みも書かれていて、それに答えるのは児童精神科医であった佐々木正美さん(故人)です。

彼の子育て哲学、ひいては精神科医としての的確なアドバイスが書かれています。

子育てだけじゃなく、大人である自分自身さえ見つめ直せる本。

題名からは子育て世代にしか関係ないだろうと思われそうですが、誰にも読んでもらえる本になっています。

 

およそ10年前に書かれた本ですが、読んでもらうと未だに増刷されている理由が分かります。

 

他の子と違う自分の子ども、大丈夫?

もちろんこの本のタイトル通り、育児につきものの悩みに、医者の立場であり子育てをした立場から佐々木先生が答えてくれています。

第1章 悩み多き時代の子育てだからこそ

第2章 わがままな子、心配な子と言われて

第3章 集団生活の入り口で

第4章 上の子の気持ち、下の子の気持ち

第5章 ママだって傷ついている

大きく5章に分かれて、母親からの悩みの相談にQ&A方式で答えてくれています。

 

悩み
自分の子どもが周りの子どもと違う、できないことが多いんですが。。。

 

こんな悩みはよくあると思います。

親からするとこれくらいのこともできない自分の子どもは大丈夫なのか?と思ってしまいます。

佐々木先生はこう言います。

 

佐々木先生
『いちばんいい方法は、子どもを変えようとしないことです。「親が望むような子にしよう」と思うのではなく、「子どもが望むような親」に自分自身がなるといいのです。(9 P)

 

視点がガラリと変わりますね。

親の方が子どもの望むように変わる方がいい、と。

子どもには子どものペースがあり、それぞれ違うのだから、ということです。

佐々木先生は一貫して子ども目線の意見を与えてくれます。

 

過保護でいい

悩み
子どもへの「過保護」はダメなのでは無いか?

 

こんな悩みも多いかと思います。

しかし佐々木先生はこう言います。

 

佐々木先生
『「過保護になってしまうんじゃないか」と心配される方が多いですが、実際に「過保護な親」はものすごく少ないと、わたしは思います。(18P)』

 

そして現在の親がしていることは、「過保護」ではなく「過干渉」でしかないということのようです。

 

佐々木先生
『過保護は自主的でいきいきとした子を育てますが、過干渉は自立の芽を摘みます。(18P)』

 

その過保護と過干渉の違いについては、

 

佐々木先生
『過保護は「子どもの望んでいることをやってあげすぎてしまう」ということです。(18P)』

『一方で過干渉は、過保護とはちがい、子どもがやりたいと望まないことをやらせすぎてしまうことです。(20P)』

 

なるほど、と思います。

こうしてほしい、ああしてほしいに答えてあげることが過保護であり、そんな子どもの欲求に答えてあげることで、子どもは自立した存在になるというのです。

一方、過干渉は親が子どもにこうしなさい、ああしなさい、ということを押し付けて、できたら子どもを過剰に褒める。

子どもは自分がしたいことでもないのにそうすると褒められるんだ、となり、自立の芽を摘んでしまうようです。

ここにも親の望む子、という要素が多いみたいです。

 

手のかかる子

悩み
子どもが少し大きくなるとなんて手がかかるんだ、少し自分のことが自分でできるようになる3歳くらいになると、成長したなあと感じる一方、まだできないの?とか、またできなくなっているとか。

こんな悩みも多いと思います。

 

子どもの機嫌や気まぐれで親はそう思わせられることもありますね。

そんな手のかかる子だと思う場面も多々あるものかと。

 

佐々木先生
『小さいときに手がかかった子のほうが、どちらかというと、大きくなったときにしっかりするということも実感しています。(26P)』

『手のかかる子たちは、親の手が伸びるような、そのようなふるまいをしてくれているわけです。自ら必要なものを手に入れる努力をしているとも言えるのです。欲しいものを欲しいと言える、強い子なのです。(26P)』

 

佐々木先生はここでもそういう子どもの良さを教えてくれます。

手のかかる子はこういう子なんだな、と思うこと、他の子とは違う個性なんだなと考えると少し肩の荷がおりますね。

 

発達障害の可能性も

しかしときには発達障害も疑ってみることも必要としています。

そこは医師であることから、子どもの様子によっては、専門家に相談することも必要であると言います。

ADHDやアスペルガー症候群を持つ子どもは感情のコントロールが苦手です。

しかしそれもこう答えてくれます。

 

佐々木先生
『大事なことは、障害であるかどうかではなくて、その子の「生きにくさ」「苦しさ」をどう手助けしてあげられるかということです。毎日満たされた心で過ごさせてあげるために、どんな方法を見つけるのかということなのです。(28P)』

 

ここでも子どもに寄り添った考え方を持つ、ということが大事だということです。

 

子どもが生まれて自分の時間が無くなってしまった

また子育てをしていると、自分の時間なんかも無くなってしまいます。

赤ちゃんのときは24時間面倒をみる必要があり、夜の睡眠もままならない時もあります。

少し大きくなって、保育所や幼稚園に通うようになっても、いない時間なんてあっという間、子どもが帰ってくるともう自分のことなんて何もできません。

自分の時間、人生を子どものために犠牲にしているように感じるかもしれません。

 

佐々木先生
『【幸せに見える人は、誰かを幸せにしている人】(中省略)・・・けれど、そうではないのです。子どもを育て、子どもを幸せにすることで、お母さん自身が幸せになっていくのです。夫をたいせつにすることで、夫からもたいせつにされるのです。親をいたわることで、子どもからもいたわられるのです。人間とはそのような存在なのだと、あらためて認識していただきたいと思っています。(153P)』

 

佐々木先生はこう言います。

彼の人生哲学がここに現れています。

家族の誰かのために、という考えは自分に返ってくるということです。

 

まとめ

この本は児童精神科医であった佐々木正美先生の哲学が詰まっています。

 

母親向けに書かれていますが、もちろん父親も自分に当てはめて読むべきで、また子どもが欲しいと思っている人にも、

子を持つ親のリアルな悩みが詰まっていますので、「子どもってこういうもの」ということを知るためにも読んでもらえる一冊です。

 

そして自分の子どもっぽさ、まだまだ抜けない子どものようなところがある大人も読んでみるとなるほどと思えることがたくさんあります。

 

ここで紹介したのはほんの一部、読み終わると子どもに対して全く違う見方ができ、また自分の今後の対応を熟考できる1冊です!

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