【なくなりそうな世界のことば】著者吉岡乾、イラスト西淑、創元社、2017年
日本語といっても方言が無数にあり、地域によっては全く何を言っているのか分からないこともあります。
方言は日本語から派生した素敵な言語の一つかもしれません。
大きなくくりで日本語でも1億2,000万人ほどの話者がいて世界9位の多さ。1位は中国語9億人、英語は3億7,000万人で3位だそう。(なくなりそうな世界の言葉、3P)
話者が少ない言語。そこには独特のの意味を持つおもしろい言葉があり、そんな話者が少なくなった、もしくはもういない言語を紹介してくれているこの本の一部の言語を紹介します。
ルルン
言語:アヤクチョ・ケチュア語
話者数:90万人
使用地域:ペルー
ルルンの意味:豊作、農作物がたくさん実っている様子(なくなりそうな世界の言葉、9P)
この本で紹介されている言葉では一番話者が多い言語。日本の少し大きな都市の人数ほどしか話されていない言葉があるんですね。
シャターシュッマユッ
言語:ジンポー語
話者数:65万人
使用地域:ミャンマー、中国、インド
シャターシュッマユッの意味:月蝕。直訳では「月を蛙が呑むこと」。(なくなりそうな世界の言葉、15P)
アジアの少数民族の言語。蛙が月蝕を引き起こすという考えがなんとも奥ゆかしい。
マラマラアク
言語:ブルシャスキー語
話者数:10万人
使用地域:パキスタン
マラマラアクの意味:ごろごろ、だらだら(なくなりそうな世界の言葉、47P)
言葉の響きがいいですね。その意味と響きが日本語の意味と響きに似ている気がしますw
アムアアムアマー
言語:ボントック語
話者数:4万人
使用地域:ルソン島(フィリピン)
アムアアムアマーの意味:年をとった男性、おじいさんや年長者を意味する。(なくなりそうな世界の言葉、55P)
これも響きがいいw父を意味するアマという言葉をつなぎ合わせているそう。ボントック人にはかつて首狩りの風習の歴史もあったという。
イヨマンテ
言語:アイヌ語
話者数:5人
イヨマンテの意味:熊祭り、熊送りの儀礼。熊(動物)を神の化身とアイヌのひとは考えるよう。(なくなりそうな世界の言葉、105P)
まだまだいるのかと思ったら流暢にアイヌ語を話す人は3~5人しか残っていない。4人称という特殊な人称概念もあるようです。
なおMacではアイヌ語の入力ができます!(「ローカルブロガーのメモ帳」さん記事に詳しいです!http://koumetaro.com/blog/ainu-go-input-at-mac.html)
その他まとめ
他にもインドのアンダマン諸島で使用されていたが、すでに話者がいなくなった大アンダマン混成語という言語も紹介されています。
このように話者は少なくなったり、もうすでにいなくなってしまったりしているが、おもしろく、そして考えさせられるような素敵な言語が世界にはたくさんあるようです。また言葉に添えられたイラストも本当に素敵な本。言葉好きな人、言葉に関わる仕事をしている人には興味深い1冊です。
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