ただの「株と人間関係」の話です。
下にスクロールしていくと、投資セミナーとか情報商材とかの話にはなりませんのでご安心ください。
むしろうまい話があるならこちらが教えてほしい。
もちろんタダで。
目次
ノーリスク、ノーリターン
昨今の投資ブーム。もはや定番となっているか。
株の一つも持っていて当たり前と思いきや、まだまだ何も持っていない人も多い。
株で元本10万円で数億円儲けたなんて話もちらほら。
でも株なんてちょっと怖い。
損して破産することも。
もちろんハイリスク、ハイリターンの世界。
ローリスク、ハイリターンなんておいしい話なんて無い。
そんな話はあっても詐欺がほとんど。
でも誰もがローリスク、ハイリターンを求めるこの世間。
そりゃそうだ。
誰だって楽して稼ぎたい。
へとへとになるまで働いて、お金をもらって、
疲れたまま朝を迎えるなんてもういや。
どこかで大金でも落ちていないかな。
時々聞くけど、どぶ川に紙袋に入った現ナマ1億円。
落ちていないかなあとそれを探しに仕事を辞めて旅に出るくらいなら、
まあ働いてそこそこのお金をもらったほうがいい。
だよね?
株で500万円儲けただって?
「まあ普通はそうなんだろうけど、僕、株でそこそこ儲けだしだよ」
そういうのはAの小学校からの友人S。
「まじで!株やってたの?」
Aは不意を突かれた。
「え、まだやってないの?株、いいよ」
しれっとした顔でそういうではないか、我が同胞が、とAは思いました。
「ところでいくら儲けたの?」
「まだ500万円もいかないくらい。
約定していないから確実ではないけど」
年収より多いじゃないか。
500万円?約定?
よくわからん言葉が出てくるではないか。
もちろん500万円はわかる。
1万円が500枚だ。
年収以上だ。
「ところで年収、今いくら?」
「去年の源泉で350万円。しょぼい。君は?」
「390万円。変わらないよ」と言いつつも
心の中では勝った!と言わざるを得ない。
目くそ鼻くそであろうとも、田舎のサラリーマンの30代の平均だろう。
いやいや少なすぎるだろう、といわれようとも、少なくとも2人の平均は370万円で、
田舎の中小企業なんてこんなものだ。
ここでの話はもちろんAも彼も証券会社や金融関係の仕事ではない。
仮に証券会社や金融関係の仕事でこの給料なんかスーパーブラック企業だろう。
それにしても500万円は多いな。
「いくらで株始めたの?」
「去年の冬のボーナス、40万円で」
「それが今500万?」
「約定してないけど500万。今は」
また約定か?なんだよ約定。「やくてい」って読んでしまうよ。
「やくじょう」だなんて日常語じゃないよ。
今は夏だから10ヶ月ほどで40万円が500万円に。
およそ10倍。
すごいじゃないか。
株を買えばなぜだか上がる
「君もやりなよ。儲かるよ」
といわれても、株なんてどうやるんだよ。少しならお金あるけど、損したら嫌だし。
「まあそうだけど。。。」口ごもるA。
「なんでやらないの?」
「そもそもどうやるの?」ととりあえずAは聞いた。あまり興味はないけれど、なんかしつこいのでそう聞いてみた。
「証券会社で口座作って、お金入れたら、すぐ。まあすぐと言っても書類のやり取りで1週間くらいはかかるかな」
1週間なんてすぐじゃないか。
「どうやって儲けたの?」
「まあそこそこ勉強したよ。日経新聞読んだり、ニュース見たり。
もちろん株の動きも毎日見てるし、上場会社調べてるし。」
毎日セミを捕りに追いかけていた友人が毎日、日経新聞を読むほどになるとは、
たかだか年収350万円なのに、とAは思った。
そして日経新聞は紙媒体か電子版か気になったけれど、それはどちらでも良い。
「まあそうだけど、株って儲からないどころか、破産もするっていうし」
「そうなんだろうね、僕は運がいいと思う」
運かあ、結局。
「でもやってみないとわからないよ。僕もなんとなく買った知らない会社の株が翌日ストップ高」
ストップ高?よくわからない芸人の名前か?と思ったけれど、違うっぽいね。
「すぐに売ったら1日で20万円儲けたのが始まりだから」
まじでか?それなのにジョイフルでいつも割り勘じゃないか。
「こないだおごったのはそれで笑」
そう言えばマックをおごってもらったのはそれか!
「次に買った株もしばらく下げていたけど、ぐんぐん上がりだして、
翌週に買収されてストップ高になったけど、
欲を出して持ってたら少し下がったけど30万円儲かった」
うまい話じゃないか。とてもよくできたうまい話。このまま詐欺られるのかと思っていたよ、このときは。
「でも損したときは50万円を1週間で失くした時もあるよ、って話をしたら株なんてやりたくなくなるか」
プラマイ0じゃないか!
やっぱり損するじゃん。
「まあ損したのは結局それだけで今はプラス500万円だけどね」
やっぱり儲かるのか!?もうなんか疲れるよ、この話。
ジャスミンティーが冷めちゃったよ。
「その大損からは上がりっぱなしなんだよ。特別に勉強したわけでもなく、
四季報読んでみて、よくわからないけどいいことやってる会社じゃん、って思ったら、
株買って、そしたらあがり始めて、って言う繰り返し。
よくわからなくても上がるところは上がる。
運が付いているみたい。僕が買った株は上がるんだよ、なんてね」
なんてね。。。
四季報まで読んでいるのか。
それは運が強い、というか株に向いているのだろう。
それは個人的な体験であって、Aも株を買えば同じようになるわけではない。
株をはじめようと思う
でも同じように買えばいいのではないか。
彼は運に乗っている。
彼と同じ株を買えば上がるのではないか。
日経も四季報も読んでいないけれど、彼の話を信じていれば
株が上がると言う事実。
ドナルド・トランプの猛威、未曾有の災害、いろいろな条件で
株価は上下するらしいけれど、彼が買う株は上がる。
「株はじめようかな」
Aはぼそっとそう言った。
「まじで、いいじゃん。○○証券がいいよ、手数料安いし、スマホで口座作れるし」
そうかそうか、とスマホを取り出し、調べてみた。
「ところでどこの株持ってるの?」
Aはスマホを眺めながらそう聞いた。
彼は窓の外を見ていた。
彼はファミレスの駐車場に入ってくる車のライトでまぶしそうにした。
下に1と2の二つの彼の回答がある。
1と2、どちらの答えにするかで友達にするかどうかを選ぶほど重要なことを言っている。
1.「どの株を持っているかって?それは教えられない」
彼はどの株を持っているか教えてくれなかった。
それはインサイダー取引になると言う。
もしそういう彼みたいな友達がいたならば、その友達はいろいろと嘘つきだ。
そもそもインサイダー取引はそういうことじゃない。
(彼が証券会社とか上場会社とかで働いているならインサイダーもあるけれど、彼は弱小の小売業で働いている。)
そして彼は500万円儲かっているのかさえ怪しい。
本当に儲かっているのなら、スマホで収益を見せてもらえればいい。
証券会社のサイトにログインし、株を持っているなら収益くらいすぐにわかる。
ちょっと見せてくれてもいいところを見せられないと言うなら、
きっとそんな儲けはないのだろう。
見ず知らずのやつに見せるのとはわけが違う。
昔からの友達で、そんな儲けた話をしておいて、
ちょっと収益の実際のところを見せることもできないなんて、
それはきっと嘘だからだ。
2.「いいけど、1つだけ言っておくね」
彼は持っている株を教えてくれた。
でも1つだけ忠告された。
「僕の株はこれまで運よく上がり続けたけれど、今後も上がる保証はないし、
気をつけたほうがいい。
上場企業もいつ不祥事するか、倒産するかわからない。
そうなると反対にストップ安にもなるし、整理に入るとゲームが始まって、
いわゆる株は紙くずになることもある。
自己責任とは言わないけれど、あくまで参考にしておいてね」
と彼は言った。
いいやつではないか。
それこそ友情だ。
「でも君も同じ株を買ってくれたら僕はうれしいよ」
そう言って、スマホで収益を見せてくれた。
正確には499万円くらいだったけれど頭に+のマークが付いていて、
正直びびったとAは言う。
株は美人投票であり多数決ゲーム
株は美人投票、つまり誰が美人かを選ぶという絶対的なものではなく感覚的なところがあり、
そして多数の人が選ぶものを選ぶことで勝ち上がる多数決ゲームなのだ。
だから彼が言ったようにAが同じ株を買ってくれるとうれしいというのは一理ある。
微々たる力でも彼と同じ株をAが買うことで株価は上がる。
すると二人ともハッピーになれる可能性は高まる。
それが友情を意味していなくとも。
つまり株はできるだけたくさんの人間でたくさん買うことで上がるのだから、
本当に株で儲けているならば、同じ株を買う人を増やしたほうが良い。
そうすることで株価は上がり、同じようにハッピーになれるのだから。
そして彼のように自己責任であることを忠告。
彼から聞いて次の日に買った途端下がるなんてことも有り得るのだから。
株を持つ友達
株を持つ友達がいて自慢げに儲かっているなんていい始めたら
そこで友情が確かめられる。
上記のように1ならば、
友人は嘘つきの見栄っ張りだからすぐにでも
友達をやめた方がよい。
2ならば、
その友人は運を持っているし、きっといいやつだから、
生涯大事にしたほうがいいかもしれない友人だ。
まあそもそも友情なんて株価のように空ろなところもあるけれど、
友情云々、株の話で付き合う人間かどうかわかるという話でした。
株の話もお金の話。
金の話は縁の切れ目だから、まあそんなに大声で話すべき話じゃないけどね。
しかし株よりも蕪の方が健全だ。
体にも良い。
日本の未来は農家にある。
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