エミリー・エスファハニ・スミス: 幸せを目指すだけが人生じゃない
幸せを追求すると不幸になる？
自殺率は世界中で上昇し、アメリカでは過去30年で最高を記録している。
客観的には、生活は向上しているにもかかわらずより多くの人が希望を失い、鬱々として孤独に感じ、人々の間に虚しさが広がり、うつ病でなくても憂鬱に感じている状態です。
遅かれ早かれ「人生はこんなものなのか？」と感じてしまうのです。
生きがいを持つには？
研究によると、この絶望感は幸せの欠如ではなく、生きがいの欠如だということです。
人生に幸せを求めること以上のことがあるのか？
幸せと生きがいの違いは何なのか？
多くの心理学者は幸せを快適で安らいだ状態と定義し、生きがいをもっと深いものと考えています。
有名な心理学者マーティン・セリグマンは、生きがいとは自分を超越したものに属し寄与しているという感覚と自分のベストな状態をより高めることに由来すると述べています。
研究によると生きがいを持つ人はより逆境に強く、勉強や仕事もはかどり、長寿であることが分かっています。
そこでエミリーはたくさんの研究から、生きがいを持つことの4つの柱を発見しました。
1.結びつき
結びつきは自分を本質的に受け入れてくれ同様に他者も受け入れられるような人間関係から生まれるもので、真の結びつきは愛情から生まれます。
グループや人間関係には何を信じているかや何を忌み嫌っているかに基づくようなチープな結びつきがあり、それはあなた自身に基づかないものなのです。
個人の間に生まれるものであり、他者と結びつきを持つかは自分で決められることです。
知り合いにあっても挨拶をしなかったり、相手が話しているのに携帯電話をチェックしたり、それは相手の価値を認めず、価値がないものと考えていると思われます。
多くの人にとっての結びつきは「生きがい」の最も重要なもので、それは家族や友人との絆のことです。
2.目的
目的を持つことは自分のやりたいことを見つけることではありません。
目的は自分のやりたいことよりも、何を与えることができるか、なのです
目的の鍵は 自分の強みを他人のために使うことです。
もちろん多くの人はその強みを仕事を通じて実践し、貢献します。
しかしそうだとすると労働ができなかったり、失業したりすることが、経済的問題であるだけでなく、存在意義の問題にもなりえます。
やりがいを失うと人々はうろたえます。
もちろん仕事だけではありませんが、目的によって生きる目標が生まれ、前進する「なぜ？という理由」が与えられます。
3.超越
超越という状態は、めったにない瞬間で日常の喧噪から離れて、自我が消え去り、より高い次元の現実と一体になる感覚に陥ります。
それは芸術作品を見たり、教会での礼拝で感じたりする人がいます。
超越の経験は自分を変えてくれます。
ある研究で学生たちに60メートルのユーカリの木を１分間見上げさせると、その後学生たちは自己中心的でなくなり、人を助けるような場面で、より寛容に振る舞うという結果が出ています。
4.ストーリーテリング
自分で語る自分の物語。
人生で起きた出来事から物語を紡ぐことで物事が明確になり、今に至るまでの過程も明確になるのです。
人生は単なる出来事の連続ではなく、例え事実という制限があっても、自分の物語を編集し、鮮明にし、語り直すことができるのです。
フットボール中にマヒ状態になったエメカという男性、怪我の後、彼はフットボールをプレーできたときは良かったが、今はダメだ、と絶望していました。
しかし時間を経て、彼は自分の物語を編集し、怪我をする前は自己中心的だったが、怪我の後は子どもたちの指導を始め、人生の目的を見い出しました。
それは他人のために生きるということです。
このように自分の物語を編集して、人生を変えることができるのです。
心理学者のダン・マクアダムズはこれを「取り戻しの語り」と呼び、悪が善によって償われるのです。
生きがいを持つ人生を送る人は、償いと成長と愛によって、人生の物語を定義する人が多いと言われています。
それはセラピストの助けを借りることもできますが、経験や失ったもの得たものによっていかに自分が形成されてきたかを、ただ人生をじっくりと振り返るという、自分でもできることなのです。
誰もが辛さを経験し、苦しんでいます。
しかし痛みを伴う記憶を受け入れることで、新たな洞察や知恵を得て、自分を元気付ける良い部分を見いだすことができます。
まとめ
結びつき、目的、超越、ストーリーテリング、この４つが生きがいの４つの柱です。
幸せは訪れては消えてしまいます。
しかし人生が本当に充実していれば、物事がまったく上手くいかないときも、生きがいがあることで踏ん張れるのです。
幸せとは違う、生きがい。
生きがいを持って生活することで人生が充実し、それが幸せに繋がるものになるのかもしれません。
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