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フィン・リュツォー=ホルム・ミスタッド: テクノロジー企業があなたを欺いてデータとプライバシーを放棄させる手口
目次
マイ・フレンド・ケイラ
ケイラは各国でオモチャ賞に選ばれた、インターネットを介して、音声認識技術で子どもの質問にまるで友達のように答える人形です。
しかしその機能は、安全な家の中で家族が何気なく話している間に、企業が収集している大量の個人情報にあるのです。
安全な家?となってしまいます。
ノルウェー消費者委員会のフィンの仕事は国内で消費者の権利を守ることなので このケースに危機感を覚えました。
2020年までには車や電力メーターさらには掃除機など何億という種類の機器に通信機能が搭載されると期待されているので、
さらに調べる価値があるケースだと 彼らは考えたのです。
ケイラは吸収した興味深い情報で何をしていたのか?
ケイラには他に友達がいて情報を共有していたのでしょうか?
ケイラを動かすためのアプリ
ケイラと遊ぶには、関連のアプリをダウンロードする必要があります。
両親は通知なしに変更される規約に同意する必要があります。
子どもや友達や家族の会話を録音したものはターゲティング広告に使われたり、こういった情報のすべてがどこかの第三者に渡ったりするかもしれないのです。
それだけではありません。
スマートフォンを持って一定の距離内にいれば、誰でもケイラに接続できます。
ケイラの製造元のプログラムをした企業を追及すると、先方はケイラのセキュリティを破れるのは IT専門家だけだと一連の声明を出してきました。
しかしそうではありませんでした。
簡単にのっとることができるケイラ
ケイラにはBluetoothのデバイスが入っており、約18mまで通信可能です。
壁を挟むとその距離はもう少し短くなりますが、パスワードも必要無く、何のセキュリティもかいくぐらずにハックできたのです。
彼らは世界20か国に向けこの重大なセキュリティの欠陥と他の問題点も暴露した報告書を出しました。
するとケイラはドイツで禁止され、AmazonとWal-Martからも商品が消えました。
まだ販売されていたケイラ
ところが報告書を出して1年以上経っても、ケイラは世界中の店舗で販売されていたのです。
フィンらが明らかにしたのは消費者を守るための規制は少なく、既存の規制は適切に施行されていないということです。
デバイスのセキュリティとプライバシーの適正化が必要ですが、インターネットに接続しただけで完全に不利な立場に立たされてしまうのです。
インストールのときの利用規約
スマホに入れているアプリはそれによって生活が快適になり、便利になり、さらに健康にもなります。
インストールのときに「利用規約を読みましたか?」にチェックを入れると思います。
本当に読みましたか?
読んでいないけれどチェックを入れたとき、不平等な力関係が成立してしまいました。
想像以上のスケールでの個人情報の収集と使用に同意したことになっているのです。
31時間49分11秒
そこでフィンらは、一般的なスマホに入っている人気アプリの利用規約を読みつくすことにしたのです。
消費者に実際に利用規約を読むように要求することがどんなに非現実的なのかを世間に知らしめるために、
900ページ以上の利用規約を印刷して、オフィスに腰を据え、音読し、その実験をウェブ上でストリーミングしたのです。
平均的なスマホ1台分の利用規約を読むのになんと31時間49分11秒かかりました。
これは読んだだけで、理解するとなるともっと時間が必要でした。
理解のできる利用規約を
これは本当に問題なのです。
なぜなら企業がインターネット規制の改善に20年も30年も反論してこれたのは、
ユーザーが利用規約に同意していたことからです。
このような規約ではフェアではありません。
消費者は同意する前にこの一方的なやり方を見直し、理解できる利用規約を要求するべきです。
規約に書かれていること
そこでフィンは世界中で人気があり、30億ドルにもなるデートアプリの、
一番人気のアプリをインストールすることを試みました。
まずメインメニューの隠れた場所にすでにチェック入りの項目があり、
そこにはFacebookに載せている個人的な写真にその会社がアクセスできるというものでした。
もっとひどいことはその利用規約に、読むための眼鏡が必要なほどに小さく書かれたことで発見したことがあります。
以下、長文です。
『「投稿したコンテンツは」-コンテンツとはアプリ内サービスの写真やチャット、その他やりとりのことです。
「サービスの一部として 自動的に当社及び当社関係者、被許諾者、継承者に供与するものとし取り消すことはできません」
つまり気が変わってもダメです。
「恒久的な」
つまり永遠の
「非独占的な、譲渡可能な、サブライセンス可能な、無償の、世界的な権利とライセンスにより、
ユーザーはコンテンツの使用、コピー、保存、実行、表示、複製、記録、再生、翻案、変更、配布、
このコンテンツ派生物の作成、または他の作品への統合と既存または将来登場するいかなるメディアでのサブライセンスを承諾し与えるものとします。」』
つまりは消費者の利用履歴と関連事項のすべてがいついかなる目的にも使用できるということなのです。
このような利用規約の危険性
このような利用規約、商習慣は消費者にどのような影響をもらたすでしょう。
経済的な損失
ウェブ閲覧履歴に基づき、ローン審査が通るか通らないかをアルゴリズムに決められてしまうかもしれません。
無意識の行動操作
あなたの写真やネットから 企業に感情を分析され、傷心のときに広告で付け込まれるかもしれません。
差別
フィットネスアプリのデータが保険会社に売られて保険金が下りないといったことが将来あるかもしれません。
このような事態を変えるために
フィンらが告訴したことでデートアプリ企業が世界的にポリシーを変更しました。
消費者の権利の保護のために戦う組織はなかなかありません。
消費者も誰かに見られ監視されているこのような事態の中で、正そうとすると、
仇になって返ってくることを恐れ行動できないでしょう。
自分のデータを他人が手に入れ、使い方を制御できないのなら、
それは人生を制御する力を失ってしまったことになります。
企業はプライバシー保護とセキュリティを優先することで、
消費者からの信用と忠誠が得られることを認識する必要があります。
政府は取り締まりや最新の規制整備のアップデートを確実に行い、
安全なインターネットを作らなければいけません。
そして消費者は声を上げて技術とは基本的人権の尊重なしでは
真に社会に貢献しているとは言えないことを世界に思い出させる必要があるのです。
まとめ
ケイラという人形は日本ではあまり有名ではないと思いますが、人形だけではなく、
同じようなデバイスやアプリは多々あります。
便利で必需品になっているアプリのインストール前に無限にあるのではないかと思わせる規約を
まじめに読んだことはそうそうないと思います。
そこには企業と消費者の不平等を平気で書いているという事実が存在することもあるので、
できるだけむやみにアプリをインストールしないように気を付けなければいけません。(すべてを消すことは無理ですが)
そしてこのような技術界隈の事情に声を上げる必要を認識しました。
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