【TED】「スーザン・ケイン:内向的な人が秘めている力」まとめ

おすすめTEDのご紹介です。

スーザン・ケイン: 内向的な人が秘めている力

内向的ではいけなかった

金融街の弁護士のスーザンは、小さなころから本を読むのが好きで、家族で集まってそれぞれに本を読んでいたのが当たり前なのに、ある日サマーキャンプに行っても同じようにしていたら、「もっと活動しなきゃ」と言われ、違和感を覚えました。

それはキャンプだけではなく、人生のいろいろな場面で静かで内向的なのは間違いで、外向的な人間として認められるよう努力すべきだというメッセージをいつも受け取り、違和感を抱いていました。

しかし内向的な人が内向的でないように振舞わせるのは、本人だけではなく仲間や、果ては世界の損失だと考えられるのです。

内向的と内気の違い

「内向的」と「内気」は違います。

「内気」とは社会的な判断への恐れです。

そして「内向的」とは社会的なものも含めた刺激に対する反応です。

多くの場合、外向的な人は、外に向けて多くの刺激を強く求めますが、内向的な人は静かで目立たない環境でこそやる気になり、生き生きとして能力を発揮できるタイプなのです。

だからそれぞれが持てるタイプを最大限に発揮できるようにするには、その人に合った刺激の中に身を置くことなのです。

刷り込まれた外向性

学校や職場のような組織は外向的な人向けに作られており、外向的な人に合った刺激に満ちています。

私たちはみんな幼い時期から、外交的であることを取り込んでいるのです。

また今の世の中に広まっているある種の信念体系が、スーザンいわく「新集団思考」と呼ばれるものが、創造性や生産性の多くは社交的な場から生まれると考えられています。

学校で求められる内向性

また学校の教室は、かつては個人個人の机で自立的に行っていたのが、今では何人かのグループにされています。

数学や作文のようなものまでグループで行わせます。

単独行動や1人で作業するのが好きな子をはみ出し者、さらには問題児と見なしてしまいます。

多くの教師は理想的な生徒は内向的でなく外向的なものだと思っています。調査からも明らかなのですが、内向的な方が成績が良く、知識があるにも関わらず。

職場で求められる内向性

多くの職場が壁のない開放的なオフィスで、職員は絶えず雑音や他人の視線にさらされています。

またリーダーシップが必要な役職からは内向的な人はいつも除外されています。内向的な人は注意深く危険すぎるリスクは避けるという長所があるにも関わらず。

ウォートン経営大学院のアダム・グラントの興味深い研究では、内向的なリーダーは外向的なリーダーよりも良い結果を生むことが多いといいます。内向的なリーダーは積極的なメンバーがアイデアを出して活躍できるようにさせる一方、外向的なリーダーは知らぬ間に何でも自分で仕切ることに夢中になり、人のアイデアを活かせないようにしてしまうのです。

【TED】「アダム・グラント:独創的な人の驚くべき習慣」まとめ

2019-03-04

外向的であるのが悪いわけではない

内向的・外向的という言葉を広めた心理学者のカール・ユング純粋に内向的な人や純粋に外向的な人というのはいないとしています。

それは例えいたとしても病院の中だとしています。

内向型と外向型のちょうど中間の両向型と呼ばれている人がいて、そんな人は両方の良い面を持っていることがあります。

必要なのは両方のバランスを持った社会であることです。

そのバランスは特に創造性とか生産性といった面で重要で、創造的な人々の人生を研究した心理学者によると、彼らはアイデアを交換し発展させることに優れている一方、非常に内向的な面を持つことが分かっています。

内向的なリーダーと創造性を駆使した有名人たち

エレノア・ルーズベルト、ローザ・パークス、ガンジー、かつてのリーダーたちはみんな自分を無口で静かな話し方をする内向型で、むしろ内気な人間だと言っています。

また孤独であることは創造性の要素なのです。以下の有名人が良い例です。

チャールズ・ダーウィンは1人で森を長時間散歩することが多く、パーティの招待はきっぱり断っていました。

ドクター・スースとして知られるセオドア・ガイゼルは数々の素晴らしい創作をカリフォルニア州の自宅裏にある孤独な書斎で生み出しました

最初のアップルコンピュータを作ったスティーヴ・ウォズニアックは当時働いていたヒューレットパッカードでいつも自室に1人閉じこもっていました。

子どもの頃いつも家に閉じこもっているような内向的な性格でなければ、そもそも技術を極めることもなかっただろうと言っています。

もちろん共同作業を一切やめろということではなく、ご存知のようにウォズニアックがジョブズとアップルを始めたのが成功した共同作業の良い例です。その一方で、孤独も大切であり人によってそれは呼吸のための空気のようなものなのです。

宗教者にみる内向性

世界の主要な宗教を見るとどの中にも探求者が現れます。

モーセ、イエス、ブッダ、ムハンマド・・・ 探求者は1人で荒野をさすらいその中で顕現や啓示を得て、それをみんなのいるコミュニティへと持ち帰るのです。

現代心理学の知見に照らすならこれは不思議なことでも何でもありません。グループの中にいると他の人の意見を無意識にまねるようになるだけなのです。

グループになる弊害

グループにいると他の人の意見を真似るようになり、個人的な意見でさえ周りに流された意見になります。

グループはその場の支配的でカリスマ的な人の意見に従うもので、それは優れた話し手とアイデアが優れていることが同じだと勘違いしてしまう弊害があるのです。

それぞれが1人になってグループの力学による歪みを受けずに独自のアイデアを考え出す。それから集まって、調整された環境で話し合う方がずっと良い。

しかしなぜこんな間違えたやりかたになっているのか?学校や職場がなぜこうなったのか?

なぜ外向性が尊重されるのか?

その1つの答えは文化の歴史的変遷にあります。

西洋社会とくにアメリカの特に男性は、常に「考える人」よりも「行動する人」が好まれてきました。

しかしアメリカでもその初期においては歴史家が「品性の文化」と呼ぶ時期があり、リンカーンのような人をロールモデルにした、人の内面や倫理的な清廉さが重んじられていました。

その後20世紀になると、農業から大企業中心の世界へと発展、人々は小さな町から都市へと移り住む「個性の文化」と呼ぶ新しい文化の時代に入ります。

それは知らない集団の中で自分の能力を試さなければならなくなり、必然的にカリスマ性のような資質が重要になったのです。

そのロールモデルになったのは優れたセールスマンなのです。

自己啓発書も新しいニーズに合わせて『人を動かす』のような題名が付くものに変わりました。

グループが悪いわけではない

しかし決して、グループが悪いというわけではない。

今日、科学や経済などの領域で人々が直面している問題は非常に大きく複雑で解決するには大勢の人が手を携え協力する必要があります。

そんな中、内向的な人も自分に合ったやり方でできるようになれば、彼らもそういう問題に独自の解決法を考え出してくれる可能性が高くなるということです。

内向的であることを良しとするために

内向的であることを推し進めるための3つの方策です。

1.絶えずグループ作業するなんて狂ったことはやめましょう。

内向的な人だけでなく、外交的な人も意見をお互いに交し合うことは大事です。そして一人で考える時間をしっかり作ることも必要です。それは学校でも職場でも同じです。

2.荒野へ行きましょう。

ブッダのように啓示を見つけましょう。自分の考えに浸る時間をもっと増やしましょう。

3.自分のスーツケースの中身をよく見て なぜそれを入れたのか考えてみましょう。

内向的な人は自分のスーツケースを隠したがるかもしれませんが、時々、その中身を見せてあげましょう。自分のエネルギーや喜びを分け与えてください。

まとめ

確かに内向的な人は多いと思います。

そしていろいろな場面で、外交的であることを強制されてきたかもしれません。リーダーシップをとり、うまく周りの人間をまとめて、みんなで物事を行い、解決することこそが良いというような。

そんな中では自分が内向的か外向的かさえ分からなくなっているかもしれません。

私も含め、多くの人がそれに抱いていた違和感を、このTEDでは訂正してくれた気分になります。

ここでは割愛していますが、動画ではスーザンの祖父の話もあり、内向的であることがどんなに素晴らしいか教えてくれます。

大勢の飲み会や、なんらかのパーティーが苦手な人はこの動画をみると自分を肯定できるはずですw

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